【自己紹介】
ご覧いただき有難う御座います。

Create Researchの大野です。

このページでは、Create Researchを運営し始めた経緯や大野が歩んできた過去の経歴や苦悩についてご紹介します。私を知って頂くために詳細に綴っておりますので、搔い摘んで一読頂ければと思います。

これまでの臨床経験

ー常勤ー
2008~2010年 ダイワ会大和中央病院
2010~2013年 大阪府済生会富田林病院
2013年~   地方独立行政法人りんくう総合医療センター

ー非常勤ー
外来リハビリテーション、訪問リハビリテーション、デイケアなど複数の施設で勤務

これまでの学術成果

ー発表・執筆ー
学会発表25回以上(国際学会含む)
論文執筆(総説2本、原著1本)
書籍執筆4冊(共著)
講義(養成校、現職者講習会など)

ー授賞ー
2017年 大阪体育大学大学院 最優秀論文賞
2019年 日本集中治療医学会雑誌賞

研究の取りかかり

私が初めて学会発表したのは2014年、りんくう総合医療センターへ就職した年でした。小脳梗塞の患者さまに対するRedcordを用いた理学療法介入のシングルケーススタディでした。ざっと、100名ほど聴講者がいるなかで足を震わせながら学会発表したことを鮮明に覚えています。発表時、共同演者が会場におらず、すべて自分ひとりで質疑応答やその後の情報交換を行い、モチベーションが最高潮に高くなって会場を後にしました。『学会発表できるように次も頑張ろう』と、そんな強い志を持ってシングルケーススタディを3回程度行いました。

ある日、このままシングルケーススタディばかり行っていても現状維持に留まると思い、『研究発表がしたい』と思うようになりました。最初に取り掛かった研究テーマは、TKA術後のCPMに代替えする運動療法の検討でした。当時はTKA術後にCPMが行われていましたが、CPMの効果やエビデンスは乏しく、臨床的な側面からペダル運動やRedcordでの自動運動ベースの運動介入に切り替えた時、どのように効果が違うのかを明らかにするための研究を行いました。

見よう見まねで研究デザインを考え、早々に研究がスタートしました。1年半ほど、その研究のプロトコルは続き、大量のデータが手元に集まりました。しかし、そのデータをどのように処理すれば良いのか、どのように統計解析を行えば良いのか。職場内では統計解析に詳しいスタッフもいない状況でしたので、“宝の持ちぐされ”でした。

さらに、『このデータも取っておいたら良かった』というように、データ収集を終えてから気づくものも多く、研究をイチから学ぶことが必要だと痛感しました。

そんな当時の私は2児の父親で妻は3人目を妊娠している最中、私は『大学院への進学』を決心しました。

臨床と研究の両立

これまでの臨床経験のなかでは、骨関節疾患、脳卒中、内部障害の方々に対する急性期(発症直後や手術後)から慢性期、そして生活期(在宅復帰後)といった様々な病期(ステージ)でリハビリテーションに携わってきました。日々、「目の前の方々を良くしたい!」という想いから、毎週のように勉強会に参加したり、2週間に1度は大学の図書館で2冊ずつ借りて読んだり、書籍や論文も数えきれないほど読み漁るなかで、多くの知識と技術を身につけてきました。働きはじめてからの1年間で論文1000本、書籍は100冊以上は甘く見積もっても読んでいました。

大学院選びも非常に悩みましたが、理学療法士として最重要な身体運動のメカニクスについて深く学び、その知見を理学療法に応用したいという思いからバイオメカニクス関連の大学院にいくことを決めました。恩師が推薦する指導者のもとで学ぶため、理学療法士の大学院ではなく、バイオメカニクスに精通した体育の大学院へ進学しました。

大阪体育大学大学院の神経筋機能研究室

そこでは、ヒト生体における神経・骨格筋・腱の形態や機能の探求を、国際的なトップアスリートや子供〜高齢者に対し、様々なバイオメカニクス手法を用いて解明しています。世界有数の非常に恵まれた研究環境でした。

私は、地球上でかかる重力(1G)の影響が変化したとき、どのようにヒトは神経筋を調整しているのかを解明することを研究テーマとしていました。免荷装置を利用したリハビリテーション、宇宙医学への貢献、ロボット工学への応用など応用範囲の広い重要な課題です。

重力の影響が変化した条件でのランニング動作

私が研究室で経験してきたバイオメカニクス研究手法は多数あります。
[表面筋電図、誘発電気刺激(EMS)・経頭蓋磁気刺激法(TMS)、地面反力測定、超音波診断装置による筋腱骨の静的・動的撮像、VICON & ハイスピードカメラなどの測定機器を用いた生体内外の画像解析]

このような研究手法を複数同時に測定することは、世界有数の恵まれた研究環境であるからこそ可能となり、その環境で学んできたバイオメカニクスの知識やその考え方は私の思考の基礎を築いています。

病院での仕事では、患者さんのリハビリテーションに励むなか、臨床現場での疑問(クリニカルクエスチョン)に対する臨床研究にも積極的に取り組んできました。救命救急センターの集中治療室(Intensive care unit:ICU)での早期リハビリテーションに関する研究、特に交通事故や転倒・転落などの外傷患者のリハビリテーションの研究に取り組んできました。

日本有数の外傷センターである当院発信の発表は、特に医師の領域では注目度が高く、各種学会のシンポジウムやパネルディスカッションなどの上位セッションでも採択されました。臨床研究での共同演者はすべて医師であるため、学会発表に至るまでに細部にわたる指摘や、予演会での長時間にわたる質疑応答が臨床研究の血となり肉となりました。

研究デザインから統計解析までの考え方が一貫して捉えられるようになり、どのような研究であっても『研究の本質』は同じであることが本当の意味で理解が出来ました。そこから職場内でも研究のサポートを行うようになり、どの分野であってもアドバイスが出来るようになっていきました。

職場での研究体制

私が研究を始めた頃に味わった、データを上手く使えなかった苦い経験を、せっかく一緒に働いている職場のセラピストには経験させたくなく、職場での研究サポート体制を構築しました。研究の本質さえ分かってしまえば、分野や領域が違っても助言することが出来るため、PT・OT・STに関わらず研究の相談に応じています。なかには優秀演題にノミネートしたり、表彰されるスタッフも現れ、指導するセラピストが成長していく姿を見ていると、嬉しくて仕方ありません。今では、自分ひとりで研究デザインや統計解析まで出来るスタッフが続々と出てきています。

今でこそ思う本音ですが、大学院に通ったからと言って『研究が出来るようになる』とは限らないということ。色々な大学院を卒業されたセラピストと出会ってきましたが、自分で研究デザインや統計解析すら十分に出来ない、ディスカッションすら出来ない方は本当に多く存在します。

それに対して研究体制を構築した職場環境は、セラピストの積極的な研究への取り組み姿勢や研究知識・スキルを身につけられるため、実験室のような機器を使用しない研究であれば十分に研究スキルを身につけられると考えています。

Create Researchを立ち上げた理由

2021年度に地域の研修会で『クリニカルクエスチョンを臨床研究に繋げよう』という1時間半のセミナーを前編・後編の2回行い、職場内で行っている指導内容や臨床研究の基礎を講義しました。

参加者は多くはなかったですが、研究に興味を持つ方々の熱量がすごく、講義後も自分自身の研究についてメールで積極的にアウトプットしてくれます。

もちろん、長文のメールでの回答や解説、時には動画で解説を行い、フィードバックします。そして、その研究がブラッシュアップされていきます。こんな小さな地域の勉強会でも他院のセラピストから相談があるのなら、もっとサポートして欲しいセラピストは他にも多いのではないか。現状の『大学院に行く』という選択肢だけではなく、もっと気軽に相談できる人やサービスがあったら、研究の駆け出しの頃の自分なら利用したい。

そこで、Create Researchを立ち上げました。

『セラピストの研究を創造する』をスローガンに掲げ、自分ひとりで研究できる人材を育成するプロジェクトを考案し、自分の力で出来るサポートをしてみたいと思います。

令和4年3月20日 

Create Research代表 大野直紀

運営者サイト名

Create Research

運営責任者

大野 直紀

連絡先

taiiku.labo@gmail.com